第161章

稲垣栄作は会議を終え、すでに夜の八時だった。

彼はすぐに寝室へ戻らず、書斎の掃き出し窓の前に立ち、静かにタバコを二本吸った……煙が立ち上り、書斎は薄い青色に包まれていた。

掃き出し窓のガラスには霧がかかり、手で拭いてみると外の地面には10センチほどの積雪があることに気づいた。

この冬は、雪が特に多いようだ。

稲垣栄作は細長い指でタバコを挟み、ゆっくりと煙を吐き出しながら、外を見つめる黒い瞳は底知れない深さを湛えていた……そうしてタバコを吸い終えると、彼は吸い殻を押し潰して書斎を出た。

寝室の居間に入ると、彼はすぐにあの年鑑が目に入った。

堂々と置かれている。

何気なくページをめ...

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